【オリジナルマシン製造背景】ダクタイルに勝る剛性を|鋳鉄加工の課題を“特注シャンク”で解決
本ブログでは「鋳鉄管(ダクタイル鋳鉄管)」製造会社様からいただいた課題をもとにした、当社オリジナルの加工機『大型CNCフェーシングマシン』の開発背景を詳しく解説していきます。
- 大口径のワークを加工したいけど、なかなか良い機械が見つからない…
- そもそもワークが大きいため、ワークを固定して加工したい。
上記のようなお悩みの製造メーカー様は、ぜひ最後までご覧ください!
シリンダーのような、長尺ワーク用のオリジナルマシン開発については、下記記事もあわせてご覧ください
あわせて読みたい:『油圧シリンダーの製造課題に向き合う|お客様の声から生まれた“オリジナルマシン”誕生背景について』
そもそも「鋳鉄管」とは?
鋳鉄(ちゅうてつ)管とは、主にねずみ鋳鉄を材料とした長管の総称で、強度が高く、腐食に強い特性から主に浄水管や下水管、水道本管などとして日本で広く使用されています。
より衝撃に強い「ダクタイル鋳鉄」が主流に
近年では、黒鉛を球状化することでより伸縮性や衝撃に強い「ダクタイル鋳鉄管」が主流となっています。
ダクタイル管は高い強度と耐久性、耐食性を持っている反面、その重量からくる製品加工の難しさや、ワークの強度に加工ツールがビビる(振動する)ことが業界課題とされてきました。
お客様の課題:ダクタイルに負けない“剛性”の担保
今回、マシン開発をご依頼いただいたお客様もこの『ダクタイルに負けない“剛性”の担保』を最も重要視されていました。
この問題を解決すべく当社が出した答えが、特注型シャンク(BBT50特注品)を採用した『大型CNCフェーシングマシン』の開発です。
シャンクって何?
シャンクとは、切削工具や保持具を工作機械の主軸に取り付けるための重要な部分です。
シャンクは通常、テーパ形状(径が先端に向かって傾斜している形状)をしており、この形状により工具や保持具を主軸に確実に固定し、加工時の振動や偏心を防ぐ役割を果たします。
工作機械の種類や用途によって、BTシャンク、NTシャンク、CAPTOシャンクなど、さまざまな規格のシャンクが存在します。
BBTベースの“特注シャンク”で、ツールのビビりを大幅低減!
▲BBTシャンクの内部イメージ
BBTシャンクは、BTシャンクのようなテーパー部分の密着だけでなく、シャンクのフランジ面も密着されているためより剛性を高めることが可能です。
今回のオリジナルマシンには、密着面積を多くするため「BBT50」をベースにした特注シャンクを採用し、より剛性の高い加工機としてカスタマイズ製作しました。
▲オリジナルの大型CNCフェーシングマシン(管内径φ1521~709mm加工可能)
【ダクタイル管の加工課題】
材料の特性上、強度と靭性があるので加工の際にツールがビビり(振動し)やすく、加工精度を出しにくい。
【課題解決】
これにより、今回ご依頼いただいたお客様からの課題であった、ツールのビビりを解決できる加工機を、オリジナルマシンとして設計・開発したというわけです。
【特注品の強み】
今回採用した特注品では、シャンクテーパー部分をBBT50として、さらにフランジ径は剛性を高める為にサイズアップしてBT55相当で設計しました。密着する面積を増やすことで剛性を高めることが可能となります。
ワークに合わせたマシン開発なら、山科精器にお任せください!
本記事で紹介したように、当社ではお客様の加工するワーク(部品)ごとに生まれる“課題”をもとに、オリジナルマシンの設計・開発を行っております。
- サイクルタイムを短縮して、生産量を増やしたい
- 1製品あたりに必要な「工数」を減らしたい
- 加工だけでなく、搬入〜搬出の手間も踏まえて改善したい
上記のようなお悩みをお持ちの企業様は、ぜひ一度ご相談ください。
この記事を書いた人
山科精器(株)ビジネスソリューション
山科精器(株)のマーケティング部門、営業部門の機能を有するセクションです。ファクトリーオートメーションや工作機械の分野で豆知識などの情報発信。お困りごとがございましたら是非ご相談承ります。